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コクサイ M19 コンバットマグナム 6Inch<中期型>


【歴史】
コクサイ初の本格的ガスリボルバー。
モデルガン業界では「リボルバーのコクサイ」と異名を持つ老舗メーカーだけに
その第一弾となる本製品は非常に力の入ったモデルであった。

ラインナップは一番最初に2.5インチモデルが登場。
後に4インチ、6インチが追加された。
更にシルバーの「M66」もラインナップされた。

発売は今から15年くらい前。
登場当時はそのリアルなカートリッジや優れた実射性能に皆興奮したものだ。

コクサイガスリボルバーシリーズは大雑把に分類すると
S&W系は「K,L」フレーム
コルト系は「PYTHON」の3種に分類できるが
外観、性能共に最高の仕上がりなのは結局一番最初に設計された「Kフレーム」であった。




【変遷】
M19はコクサイリボルバーシリーズの最初期モデルであり、
10年以上も生産されたロングライフモデルであった。
ラインナップ自体はバレル長とメッキの違い程度だが
生産時期により細かい無数の仕様が存在する。



<初期型>
エポックメイキングなモデル。
欠点も多かったがポテンシャルの高さは後々の改良で証明された。

・トリガー、ハンマーがシルバーメッキ仕上げ。

・各部のバネが異常に硬くトリガープルは重い。

・自主規制前モデルはシリンダーのインサートが無くフルサイズのカートリッジが使える。
(反面、重いカートリッジのせいでシリンダーのノッチが直に磨耗する)

・リアサイトがプラスチック製



<自主規制直後>
初期型に規制対策を施しただけ。

・カートリッジがエンプティケース状の軽量なものに変更された。
(BB弾をカートリッジ後ろにローダーで詰める形状になった。命中精度が著しく悪化)

・シリンダーもインサート付きになった。
インサート自体が1段目のインナーバレルの役割を果たす。



<中期型 スナイピングシステム搭載>
スピードコンプのチューニングを反映したモデル。
コストが掛けられており、長い歴史の中で最も品質が高いモデルである。

・固定HOPである「スナイピングシステム」搭載。

・カートリッジは不評だった「エンプティケース」型をやめて、
旧型のフルサイズに近い「先込め式」に改められた。
これは先に発売された「PYTHON」のものを改良したものであり、
旧型のフルサイズでは弾頭を模した部分が無く、替わりに黒いラバー製のBB弾保持部が
取り付けられていた。これにより、悪化した命中精度やパワーも自主規制前レベルに戻った。
なお初期PYTHONのものはラバー部が緑色の軟樹脂になっておりBB弾保持能力が低く
マルシンの直径が大きい「SM BB弾」でないと弾が零れ落ちる。

▲左からパイソン用(初期)、M19(中期以降)&パイソン用、M29用

・シリンダーインサート部も改められて、肉厚が薄くなった。
そのため後ろからみた感じでは一見すると規制前のように見える。
インサート自体はバレルとしての機能を持たなくなった。


・トリガー、ハンマーは黒いメッキになった。
また、ハンマーは前端部が削られてストロークを稼ぐよう改善されている。
これはスピードコンプで開発された技術である。

・パワー、トリガープル
スプリング類のテンション見直しにより大幅に改善された。
これもスピードコンプからのフィードバックである。
(全く同じではないが、改良の考え方は同じ)

・メダリオン
グリップのS&Wマークは黒い墨入れが無くなりスタンダードなシルバーメッキのみとなった。

・グリップ
塗装が変わり、よりリアルで深い色合いとなった。(一見すると本物の木製のよう)

・リアサイト
金属製になった。モデルガンからの流用のようだ。



<後期型>
機能は中期と同等。
但しコストダウンの為か外観の仕上げはシリーズ中最低の仕上がりである。
なお以下の「改悪」はコクサイリボルバーシリーズの後期モデルすべてに共通する。
当時の経営状態の苦しさが伝わってくるようだ。

・表面処理
表面のブルーイング調塗装をやめて半つや消しのマットブラック調となった。

・グリップ
塗装なしになり、樹脂の材質の違いだけで木目を表現。
一見してプラスチックとわかる悲しい仕上がりになった。

・カート
後端部の刻印が廃止された。



●感想<中期型>

【外観】
コクサイリボルバーが最も優れている部分。
とにかく非常にリアルで、各部のエッジも「ビシッ」としている。
バレルやフレームの面も綺麗で、「ヒケ」は少なく、鑑賞に堪えうる。
(メッキモデルのM66後期型ではステンレス仕上げの機械加工跡まで再現されている。)

但しヨークの部分は金属製だが塗装で黒色に塗られており色剥げが必ずおきる。
(パイソンのように黒メッキにして欲しかった。)

バレル、フレームの上部はシボ加工が施されるなど細かい部分も抜かりなし。
モデルガンとしてみた場合でも遜色が無いほどの出来だ。

トリガー裏及びハンマー以外のパーティングラインは完全に消されており丁寧な仕上げ。

【メカニズム】
こちらも外観同様、実銃を忠実に再現。
S&Wメカを殆どそのままコピーしている。
M19のみの特徴としてバレル交換が可能であったが
4、6インチはその銃身長からか固定が甘く保持が弱い。
そのためエジェクターロッド前端部の独自のセイフティが上手く機能しない。

【実射性能】
メカニズムが実銃に近いため、アクションもS&W独自の感覚を見事に再現。
ダブルアクションでゆっくりトリガーを引くと、
シリンダーを回転させたハンドの「チッ」音、その後シリンダーノッチにストップが掛かった瞬間の「チッ」音が楽しめる。
作動は確実で、どんなにゆっくりトリガーを引いても確実にシリンダーは固定されオーバーランなどは無い。

発射したBB弾は結構な勢いがありパワーも十分。
厚手のダンボールを貫通するかしないかといったレベルであり、リボルバーとしては上出来。
命中精度も高く3mで5cm以下は楽勝でグルーピングする。
遠射はホップがきついので0.25〜0.3g程度の弾を使うとフラットな弾道となる。
サバイバルゲームなどでも十分通用しそうな性能だが6連発では実用性は無いであろう。

【耐久性】
総じて低い。
・サイドプレートのガスルートがガス圧によりひび割れる。
・ハンマーが打撃する部分にはファイアリングピン(ダミー)の打撃痕が付く。
・バレル交換をすると芋ネジ部分がフレームから浮き上がってしまう。
・ヨークを止めているネジは上がりやすい。
・ガスバルブを叩くサブハンマーの根元が曲がる。(特にスプリングテンションの高い初期型)

【総括】
リアルなM19のガスガンが欲しいなら迷わず買い。
但し実射性能や耐久性はマルイやタナカに劣る。

中期以降に限定すれば必要にして十分な性能は有しており、
外観やメカのリアルさ、作動の確実さは他の追随を許さない。
なにより「ライブカート」方式なのは他に無い魅力であろう。

タナカ製は外観がいまいち。
バレルやフレームにヒケが多くメッキモデルでは特に目立つ。
付属のグリップも初期コクサイを彷彿させる安っぽいものだ。
メカはコクサイ以上にリアルだが作動性は悪い。
パワーは3社中随一。

マルイは作動が確実で耐久性が高いが外観やメカは・・・
おもちゃと割り切れる人向け。

つまりコクサイを選ぶということは
モデルガンのリアルさとそこそこの実射性能を持った銃をチョイスするという事である。
但し残念なことにコクサイは2003年頃に工場が火事となり、その後倒産してしまった。
よって入手は店頭在庫か中古のみとなる。

近年のリボルバーガスガンの状況を見るとライブカート式でこれほどのリアルな
製品は今後も登場の望みが薄く、ファンならばなんとか在庫品を入手しておきたい。